Nov 2021 Top500 / Green500発表

半年に一度のおまちかね、スーパーコンピュータのお祭り、Top500/Green500が発表されました。

www.top500.org

Top500は

TOP500 List - November 2021 | TOP500

から。 とはいえ、今回のTop500はそんなに動きがありません。中国で稼働しているとされる、Sunwayの新システムも、Tianhe系列の新システム(3?) も、リストには載っていないからです。ゴードンベル賞ファイナリストのプレプリントには載っているので、HPLは動いているはずなのですが…. 中国ではTop500には出さない、というのが方針なのかもしれません。まぁ、下手に一位とか取るとアメリカの予算増えますしね(?

一方、Green500は

Green500 List - November 2021 | TOP500

大きな動きがあって、非常に面白いことになっています。
まず、日本はPFNのMN-3が首位を維持しました。性能は、なんと39.38GFlops/Wということで、前回から更に電力性能を3割も伸ばしてくるという大快挙です。

プレスリリースを読むと分かる通り

PFNの深層学習用スーパーコンピュータMN-3、39.38GFlops/Wの電力効率を記録しGreen500ランキングで3度目の世界1位を獲得 - 株式会社Preferred Networks

MN-Coreは2020年5月の運用開始から同一のものを使用していますが、ソフトウェアによる制御のさらなる効率化、MN-Core同士を相互接続する専用インターコネクト(計算機ノード間を結ぶネットワーク)の改善などにより、前回(2021年6月)と比較して、計算能力が19.70%、電力効率が32.59%と飛躍的に向上しました。

とのことなので、実効効率を2割向上して消費電力を削減することで電力効率の向上を実現しています。
12nmのプロセッサでここまでできるのは、アーキテクチャの素晴らしさもさることながら、ソフトウェアチームもまた素晴らしいと思います。皆様、おめでとうございます。

さて、今回は4位までがすべて30GFlops/Wを超えるという、いよいよ50GFlops/Wの壁さえも突破しそうな勢いを感じられるような、性能向上のスピードが圧倒的に加速しているといえるランキングになっています。
惜しむらくは、MN-Coreを除くと、上位がほぼ全てA100で埋まってしまうという状況ですが…こればっかりはA100の効率が大変良いので仕方ないというか…A100は超強力というか…. そんな中、PEZY ComputingがPEZY-SC3でGreen500の12位につけています。
NA-IT1という小規模システムですが、PEZY-SC3でのシステムができたのは喜ばしいことです。電力性能としては24.6GFlops/Wということで、上位勢と比べるとやや見劣りする数字ではありますが、Tensor回路のないアクセラレータとしてはなかなかの数字かと思います。

今回はMI250Xを搭載したFrontierの小規模システムが出てくるかなと思いましたが出てきませんでした。Frontier, Auroraの対決は次回以降に持ち越しのようです。